(質問要旨)
今回の当初予算案については、知事選挙を控え、骨格的予算となっているものの、「安心に待ったなし予算」として、集中豪雨、地震などに備える 「防災の安心」、中小企業の下支えや正規雇用8,000人の創出を目指す「経済・雇用の安心」、消費税の影響や福祉など「暮らしの安心」、国の 水田農業政策を見直しを踏まえた「農業の安心」、奨学給付金の創設など「学びの安心」を柱とする、喫緊の課題に対応した予算となっている。 また、昨年度に引き続き、国の経済対策を活用した平成25年度補正予算案と連動した切れ目のない予算となっており、評価する。(評価)
(質問要旨)
山田知事は、これまでの3期12年間で「府域の均衛ある発展」に大きな成果をもたらし、新たな転換期と言える時代の変化の中で、4期目を担う 決意をしたが、この12年間の政策とその仕上げ期間とも言える3期目の4年間をどのように評価しているのか・また山田知事自身が続投する意味 と次の4年間で本府が達成しなければならない課題について、どのように考えているのか、知事の所見を伺いたい。
(答弁) 村井議員のご質問にお答えいたします。村井議員におかれましては、ただいまは会はを代表されまして、平成26年度当初予算案に対しまして高い評価 をいただき、厚く御礼申し上げたいと思います。これまでの12年間の評価、そして決意ではありますけれども、知事に就任した平成14年というのは、バブル 崩壊後の大変厳しい経済・社会情勢の中にありまして、私といたしましても、厳しい船出になったわけでありますけれども、1期目は、特にこれは12年間続 けてでありますけれども、その後にリーマンショックといろいろありましたので、雇用をどうやって回復していくのか、京都の中小企業をどうやって支えていくのか、 という施策とともに京都式の少人数教育ですとか、子育て支援医療助成制度の充実、産学公の連携、フェニックスパークや学研都市の変更もご指摘あり ましたけれども、基礎的な行政水準の底上げに全力を傾注してまいりました。2期目は、そうした基礎的な行政水準を上げていく上に、やはりこれから発展 していく基盤と致しまして、地域力再生プロジェクトですとか、府民公募型整備事業など、全国に先駆けて積極的に府民の皆様の力を合わせていくというこ とを中心に行い、その上でオール京都による京都ジョブパークや家庭支援総合センターを整備するなど、府民力、地位力というところに重点を置いて府政を 行ってまいりました。3期目は、こうした土台の上に、みやこ構想ですとか、京都産業育成コンソーシアムの設立や京都版エコノミック・ガーデニングの中小企 業支援、そして子民文化祭の開催ですとか、和食のユネスコ世界文化遺産への登録を契機とした文化活動の活性化、さらには広域レベルでは関西広域 連合の設立と国際戦略総合特区の推進など、京都の力、京都力を発揮し、未来に繋がる施策を、雇用では人づくりへと展開しながら講じてきたところで あります。この間の取組によりまして、特に安心・安全に関しましては、就任時、これは平成14年がピークでありましたけれども、約6万5千件を数えた犯罪 件数がすでに半分以下になっておりますし、交通事故の死者数統計のある昭和23年以降最小の70人に減っていきております。教育でも、京都式少人数 教育や振り返り学習などで基礎学力の向上に力を入れてまいりましたけれども、課題でありました中学校のほうもようやく全国平均を上回ってくるところまで まいりました。雇用情勢も有効求人倍率も回復し、特に正規雇用の有効求人倍率が全国を上回るペースで改善すると同時に失業率も大幅に良くなって きているところであります。しかしながら一方で、一昨年、昨年と2年続けて、今までに経験したこのないようなゲリラ豪雨や大きな災害に見舞われる中で、さ らにまた、東日本大震災、迫り来る南海トラフの巨大地震、こうした形で安心・安全対策の抜本的な見直しが迫られておりますし、予想以上の速さで進む 高齢化・少子化という波は福祉制度や、また子ども達のこれからの育ち対して大変厳しい現実を突きつけてきております。これまで以上に包括ケアなどの 福祉対策の実施ですとか、さらに非正規雇用が増える中での、正規雇用の創出として原発事故を受けたエネルギー対策など、今までの枠組みでは対応で きない時期が来ているというのを痛感したこの3期目でもありました。こうした中、府民生活を守り、府民の皆様の未来を希望あるものにするためにも、今ま での発想を超えた大きな安心を確立し、まさに大安心の時代を創造していかなければならない。幸い、今まで築いてまいりましたオール京都の基盤ですとか 、今回の災害におきましても、国、府、市町村が連携をして非常に素早い対応を取る事が出来たという12年間培った経験と力とうもを私はしっかりとつぎ込 む、これが責任であるというふうに感じているところであります。特に3期目に力を入れてまいりました成長基盤づくりは、今、大きな実を結びつつあるだけに、単 に安心の確立だけではなくて、この安心の基盤の上に京都を貫く新たな交流を生み出し、京都のさらなる発展の道筋をつけたいと考えております。既に京都 の各界・各層の方々と3年に渡って練り上げてまいりました「京都ビジョン2040」、世界交流首都を目指すというふうにしておりますけれども、人と人との交流 として科学や学問の交流、文化やスポーツの交流、そして産業の交流によりまして、どこにも負けない地域としての力を生み出していくことが、今、京都は求め られているというふうに考えているところであります。
(質問要旨)
行政改革に関し、次の諸点について、知事の所見を伺いたい。
(1)本府の3次にわたる行財政改革は、各プランに掲げたとおり、現地現場主義による振興局の再編整備や、選択と集中による事業推進の追求などにより、 様々な成果があったと考えられるが、これまでの取組をどのように検証しているのか、また、どのような課題があるのか。
(2)近年、長期デフレと災害により府民ニーズは変化しており、防災被災による安心安全と地域経済の活性化により、府民の活力を回復することが府民満足 の最大化につながる。今後の行政改革は、これまでの成果を踏まえ、これらの視点を十分に反映したものが必要であり、現地現場の実情に即した振興局の 権限のあり方や社会資本への投資の視点での公債費の有り方など、活力を求める視点での行財政改革が必要と考えるがどうか。
(答弁)
まず、行財政改革の成果についてでありますけれども、平成11年度の財政健全化指針以降、財政面では、人件費の削減や既存事業の見直しを進め、累計 で、2000億円を超える収支改善を達成いたしました。これが、今の基本的な財政構造を支えている形になっております。そして、「府民満足最大化プラン」では、 削減ありきから、京都指標等のベンチマークによって重点課題を絞り込み、府民満足につながる施策に集中投資することによって、効果的な府政の実現を目指し てまいりました。その結果、複数の組織に分かれていた雇用や児童・家庭対策については、京都ジョブパークや家庭支援総合センターなどワンストップの組織に再 編し、就職内定者数の大幅増等を実現しておりますし、府民の声を直接くみ上げる仕組みとしての府民公募型安心安全整備事業や地域力再生プロジェクトも 出てきております。さらに、警察官や教員につきまして、単費配置の充実により、府民協働防犯ステーションの拡大と相まって、少年非行や犯罪認知件数の大幅 減に繋がっておりますし、京都式少人数教育によりまして学力アップも進んできているところであります。他方、歳入確保の工夫の面では、先日も電力調達により まして、非常に大きなコスト減を達成することができておりますし、様々な面で、目に見える効果を上げる事ができたと思っております。現在、新たな行財政改革プ ランの策定を進めているところでありますけれども、基本は持続可能な財政構造の確立と、そして府民ニーズの実現とをいかにバランスさせていくかということだと思います。 このため、中小企業の成長支援や地域振興プロジェクトなど、経済再生に向けた投資を積極的に進め、地域経済を活性化させることで財政面の好循環を産み 出すこと、そして国や市町村、企業やNPO、大学等との連携・協働をさらに進め、オール京都の力を結集することによって総合力のある府政運営を実現すること が大きな目的になるのではないと思っております。こうした府政を進めていくためにも、広域振興局というのは現地現場で、市町村や地域住民と一体となって、いわば 府民力を引き出し、支える役割を果すべきだと思っております。また公共投資の管理につきましては、これは公債費プログラムをずっと守ってまいりましたけれども、他 府県と比べてみればお分かりいただけると思うんですけれども、公共事業や公債費を削減しいくというよりは、ぎりぎり線をどうやって維持していくのかというところに、この 公債費プログラムの一番大きな眼目があるというふうに思っているところであります。ただ、今後ですね、国が成長軌道を見据えて動くときには、此れに連動していくこと が効率的ですし、もしも引き締め局面に入った場合には、地位経済が停滞しないように緩和策や誘導策を講じるといったような、常にその時々の情勢を柔軟に織り 込みながら、投資による成長の実現と府債残高とのバランスを考えていく、そういうことが、これからの管理手法について、検討していく必要があるというふうに考えている ところであります。
(質問)
経済対策関し、次の諸点について、所見を伺いたい。
(1)阿部内閣では、金融緩和による市場への貨幣流通量の拡大策、防災滅災分野の公共事業を前倒しすることにより仕事量を確保する財政出動型の刺激策、技 術確信による企業の新分野開拓を促進する成長戦略の3つの経済対策が進められているが、国が進める経済対策の金融面、財政支出面、成長戦略面での本府 への影響をどのように把握しているのか。
(2)技術革新を伴う成長戦略については、ものづくりなどを中心に広い分野で活用されるべきであり、これまでにも様々な施策を講じてきた府内企業の成長に期待がか かる。本府においては先端技術の分野で特色を発揮しつつあるが、具体的に産業として企業の成長に結びつけることが必要である。具体化策について、どのように考 えているのか。
(2)本府の特徴は、業種ではものづくりと伝統産業、企業規模では小規模企業であるが、本府は国の成長戦略の効果を活かし、地域経済戦略としてどのように推進し 、その実利をどのように府内企業の発展生長に結び付けようと考えているのか。
(答弁)
次に国の経済対策の影響ではありますけれども、まず金融政策面では、これは長期金利が低水準で安定的に推移する中、1ドルが80円を下回るという大変な円高 でありましたけれども、ご存知のように、100円を上回るまでに改善してきております。これを受けまして、輸出の多い電子部品やシステム関係の大手製造業での収益の改 善などが進んでおりますし、こうした景気回復基調を受けまして、やはり国内では、ものづくりができないという、そういうイメージがあったのが、国内のものづくりが回帰してきてい る。これが、私は一番大きいと思っておりますけれども、その中で京セラの綾部工場や堀場の工場、さらにはサントリー研究所など、今までに無い大型立地もこの一年で進んで きたというふうに見えておりまして、さらには、もはや円高ではどうしようもないというふうにギブアップしかけていた府内の大手造船会社も受注増が獲得できるなど明るい兆しも見 えはじめていると思っております。また、株高等の資産効果の動きの中で、消費動向も百貨店の売り上げの改善など個人消費にも一部明るい兆しが見えてきております。一方 、財政政策による公共投資の増加は、景気刺激策として大きな効果はあるんですけれども、資材高や人員不足などの執行に当たっての課題が生じているところであります。 これはもう、東日本の復興という一大公共事業を行われている上にさらにきたものですから、大変厳しい状況があり、その中において、円安により原材料が高騰しているが価格 転嫁が難しいとか、和装、伝統産業、関連産業界からは「なかなか、和装関連は伸びてない。」といったような声を聞いておりまして、加えて北部地域のDI値を見ますとまだマイ ナスになっているというようなこともありますので、非常に地域、業界によっては厳し状況が生まれていると思います。今後財政出動などのいわゆる官制の景気をどう民間の成長 につなげていくかが大変大きな課題になるわではありますけれども、まだ成長軌道に乗せるには、これは私はそう簡単なことではないと思っております。落ちている筋肉をつけて、も のづくりの力を取り戻して国内回帰を進めていくということをやっていかなければならないわけでありますので、大変長い道のりが私は、本質的にはいるというふうに思っておりますの で、その間、やはり中小企業の下支え対策とか、消費税対応ということに加えて融資を今回も議会にお願いをしておりましけれども、こうした中小企業の経営安定、改善支援 事業などをしっかりと、まあエコノミックガーデニングと呼んでおりますけれども、今の小規模企業を育てていき形で丁寧に行っていくことがやっぱり長い目で見て必要であろうと考え ています。特にその中で技術革新の分野につきましては、国の大型の研究開発プロジェクトですとか、京都産学公連携機構の強化によるネットワークの構築ですとか、特区の 活用などを行ってまいりまいたけれども、その中では、結構ですね、シリコン・カーバイトと呼ばれる、次世代のパワー半導体を活用した、省エネ電子部材の実用化ですとか3D プリンターの技術を応用した医療分野の製品によってですね、大きく売り上げがのびたとか、かなり個々には、いいものがでてきております。それだけに今後、国の成長戦略と連携 しながら、、中小企業の連帯と産学公の蓄積という京都ならではの強みを生かして、ものづくりの成長というもを促していきたいと思っております。地域経済戦略は、今言いまし た、まさに中小企業・小規模企業の機動力と技術力を生かしたエコノミック・ガーデニングが中心になってまいりますけれども、京都の場合には、それに伝統産業の文化的蓄積 ですとか、環境産業やバイオ、さらには生活産業から和食までの取組を展開いたしまして、同時に農林水産業とのコラボによる六次産業や十次産業化という点を達成することに よって地域の特徴をうまく生かした成長戦略を構築していきたいと思っております。
※地域の特性
北部…海の京都、舞鶴港の利用促進
中部…農商公連携の推進、新光悦村の産業集積の促進
南部…京都イノベーションベルト構想の推進、学研都市を中心とする大型研究プロジェクトの進展
主な経済に関するデータ
平成24年第4四半期以降
円相場(ドル)
最高値 77.93円
最安値 105.37円
日経平均株価
最安値8,534円
最高値16,291円
鉱工業生産指数(前年同月比)
7月:+15.3
8月:+10.6
9月:+13.6
主な府内の大手企業の売り上げ高(H25年4月~)
京セラ 10.713億円〈前年比 +15.6%
日本電産 6.467億円(前年比 +23.6%
村田製作所 6.489億円(前年比 +28%
オムロン 5.523億円(前年比 +19.1%
ローム 2.522億円(前年比 +14%
主な立地企業
タツタ電線(株)テクニカルセンター(木津川市) 電波遮蔽フィルム H25.5稼動
サントリー研究所(精華町) 食品研究 H25.3立地表明
エンゼルブレイングカード製造(精華町) カードセキュリティ研究 H25.7 立地表明
大幸薬品(精華町) 医薬品研究 H25.7 立地表明
京セラ(綾部市) 電子部品基盤 H25.2 立地表明
東海ゴム(綾部市) ゴム製品製造 H25.12 立地表明
立地動向調査による京都府の立地状況(H25年上期)
件数 H25年 11件 (H24年 12件)
面積 H25年 22,0Ha (H24年 6.5Ha)
百貨店売り上げ 12月 前年同比 +1.3%
住宅着工件数 12月 前年同比 +51.2%
公共投資(年度当初累計前年比 12月) +9.8%
(質問要旨)
厳しい雇用環境の下、本府においては、京都ジョブパークの体制強化によりミスマッチの解消に取り組むとともに、若者や女性などの就業支援に対する 様々なメニューを考え、雇用拡大向けて取り組んでいるが、産業構造の変化が進む中で、生産拠点の立地と転出が続く企業の流動化を見据え、雇 用の課題をどのように考えているのか。また、小規模企業が多い地域として、今後の地域雇用のあり方、正規雇用拡大を図るための企業経営の安定 継続に向け、どのような取組が必要と考えているのか、知事の所見を伺いたい。
(答弁)
雇用の拡大、特に正規雇用でありますけれども、確か有効求人倍率は私が就任したときは、0.47倍でしたが、それが、0.96倍になってきております し、完全失業率も6.3%であったものが、今は3.5%という形で大幅に改善している中で、これからはやはり、「量」から、それと合わせて「質」へ転換 していかなければならないと思っているところであります。京都の場合には学生がが多いとか、観光関係とか教育関係とか非正規率の高い産業が多いた めに、非正規率が全国と比べると高く出る傾向にあるが、やはり高いのは問題であるので、そうした産業構造の転換とものづくりとか正規雇用率の高い ものをしっかりと位置づけていくことが必要だというふうに思っております。そういう中で、企業の流出を食い止め、逆に企業誘致を進めるためには、一つに は京都ならではの産学公の連携の土壌を活用していかなければならないということであり、こうした点で私たちは全力をあげて取り組んでまいりましたので、 平成13年度以降では、7,000人を超える雇用を生み出すという形になってきております。今後、中北部地域におきましても、いよいよ交通アクセスが完 成をしてまいりますので、京都舞鶴港も活用した流通産業などの立地とともに、しっかりと企業の流出防止、そして誘致というものを取り組んでいきたいと 思いますし、産学公連携など研究開発支援や技術力の向上によって、府内立地の満足度を高めていくという施策を同時に講じていきたいというふうに 思っているところであります。さらには、今回の予算でもお願いしておりますけれども、国の経済対策で親切されるひとづくりの強化ですとか、ジョブパークに よる正規雇用に重点化したマッチングとか、新たな雇用基金も出来ましたが、定着支援や処遇改善、こういうものと合わせて、4年間で3万人、今年 度は8千人の正規雇用目標に取り組んでまいりたいと思っています。それからさらには、今回の予算でもお願いしておりますけれども、国の経済対策で 新設される人づくりの強化ですとかジョブパークによる正規雇用に重点化したマッチングですとか、それから新たな雇用基金、これはもう出来ましたけれ ども、定着支援、処遇改善、こういうものと合わせて4年間で3万人、今年度は8千人の正規雇用目標の達成に取り組んで参りたいと思っております。
(質問要旨)
少子化対策に関し、次の諸点について、知事の所見を伺いたい。
(1)本府は少子高齢化社会の到来を見据え京都式地域包括ケアシステムの構築とともに、子どもの医療費助成制度の充実、私立高校の授業無償化、私立 の幼稚園や保育園の環境整備、不妊治療の支援や婚活事業など、子育ての環境づくりを行ってきたが、本府の特殊合計出生率の改善は見られず、全国で2 番目の低さになっている。このような状況を踏まえ、知事は国、地方全体での抜本的対策の必要性を訴えたが、まず本府としての強化対策が必要と考える。これ までの少子高齢化対策をどのように検証し、その中で少子化対策の効果をどのように分析しているのか。また充実すべき施策として何が考えられるのか。
(2)我が会派は、義務教育期間の医療の費無償化は子育て世代の負担軽減に大きく寄与し財政的に余裕が生じた市町村で少子化に対し独自策の誘導を 進める財源になるとの考えから、子どもの医療費助成制度の府負担分の上乗せを主張しているが、本府においてはどのように考えているのか。
(答弁)
次に少子高齢化対策でありますけれども、高齢化対策につきましては、やはり急速な高齢化の中で、地域全体で医療・介護・福祉の垣根を越えた、しっかりと したケア体制をつくっていくということが一番重要であると思っておりまして、この方面で進めて参りました。これは国においても非常に注目を浴び、次期の診療報酬 の改定に際しましては、京都府の在宅療養あんしん病院というものを手本に、これが、報酬加算の対象になってくるという形で、とりあげられるといことでありました。 また福祉人材育成認証システムを通じまして様々な優秀な人材というものが、処遇改善も含め、できあがってきていると思っております。少子化対策の方ですけ れども、京都の場合は女子大生がおおい、若い女性が多いという形で、構造上出生率が低く出るという問題があるんですけれども、それに対してとにかく改善した いということで、子育て支援医療制度や安心修学支援事業、こうした経済負担の軽減や不妊治療とか色々やってきたんですけれども、残念ながら上がっておりま せん。少子化の進行を見ますと、やはり3点でございまして、1つは未婚率の上昇、1つは子どものいない夫婦の増加、もう1つは3人以上の子どものいる家庭の 減少、この3つの壁と申しますか、3つの要因が指摘できます。
【今後の対応】
ですから、これについては、まず未婚化というものをですね、しっかりとみんなが、9割近い人が結婚したいということを述べているわけですので、その思いがかなうよう にしていかなければならないというのが1点でありますし、また晩婚化が進んでいることによりまして、どうしてもですね、不妊率が高まっていくということがありますので 、そういう問題につきましては、やはりライフスタイル自身についてしっかりと子ども達にもわかっていただくような取組が必要だと思っておりますし、出来るだけ第3子 の出生いよくについても、これは経済的な理由というのも大変ありますので、そうした面について対応していかなくてはならないというように、それぞれの課題に対し て的確に手を打つ、これは今までにない、婚活から経済的支援までの総合的な支援というものを思い切って打たなければいけない、ということこのたび少子化対策 総合戦略会議を設置したところでありますので、今後、まさにライフステージに応じたそれぞれの対策について取り上げるようにしていきたいと考えているところであります。
【子どもの医療費助成】
子ども医療費助成制度につきましては、子育て環境の整備に向けた施策として、これは取り組んでまいりまして、私もずっとこの12年間で拡大をしてまいりました。 その中で現在でも全国トップクラスの水準を維持しているところでありますけれども、やはり子どもという存在が社会的な存在であるということも我々は十分に確認す る中で、市町村におきましてもこの府を基礎に拡充されているところもあるだけに、市町村の意見も十分にお聞きする中で、一層の充実に向けて、検討してまいり たいと考えているところであります。
保健医療の充実について
(質問要旨)
保健医療の充実に関し、次の諸点について、知事の所見を伺いたい。
(1)ドクターヘリの広域連合への移管により、ドクターヘリの救急医療以外ででの活用も見られることから、関西広域連合では救急医療を中心に小児医療等の 専門分野でも、府県を越えた4次医療機関的な体制構築が可能であると聞く。府県をまたがり専門医療の得意分野を分業していくことも視野に入ってきた と考えるかどうか。また、それが今後の本府の医療体制の充実にどのような影響を与えるのか、今後の交通事情やドクターヘリの活用方法が医療機関のあり方に 与える影響も含め、本府の医療の整備のあり方について、どのように考えているのか。
(2)2次医療圏での医療サービスの充実は、医療の質、医療に係わる時間の面からも、府民ニーズが最も高く、特に精神疾患については急務である。この分野に ついては3次医療圏での体制整備をしてきたが、時代的な背景を考えるならば、民間病院も含め2次医療圏での医療体制の充実強化が必要と考えるがどうか。
(答弁)
次に、保健医療の充実についてでありますけれども、府県域を越えた広域的な医療体制については、すでに関西広域連合内で、5機のドクターヘリが、年間2千回 出動する形で、ここ数年で本当に整ってまいりました。福知山の事故でもですね、3次医療圏を越えた搬送がすでに行われているところであります。今後、京都縦貫道 の全面開通など高速道路網の整備も進んで参りますので、さらにこうした3次医療圏を超える4次医療圏化が進んでくると考えております。特に小児医療におきまして は、高度専門医療の府県を越えた病院間搬送など、広域の受け入れ体制のさらなる整備を進めることが重要でありますので、現在、関西広域連合で「4次医療圏・関西」 という形で検討を始めているところであります。さらに、「小児がん医療」などの専門分野におきましても、その中に、小児医療連携検討部会で進めているところでありまして 、特に、京都府内では、京大、府立医大の2大学が小児がん拠点病院に指定されているので、こうしたことを上手く活かして、他の拠点病院とのネットワークを構築し 、診療機能の充実に取り組んでまいりたいと考えております。精神科医療の状況でありますけれども、病床の総数でいきますと、3次医療圏では全体として充足してい るのですけれども、京都の場合には、南北に長いという状況がありますので、南部地域は府立洛南病院、北部地域は舞鶴医療センターを基幹病院として、体制整備 を図ってまいりました。その中において特に最近では、認知症患者とうつ病患者、その二つがやっぱり大きく増加しております。そのために、認知症の早期診断・早期対応 が可能となるよう、これは全て2次医療圏に「認知症疾患医療センター」を設置いたしまして、民間病院と連携して医療体制の充実を図っていく。また、うつ病の患者さん も大変増えておりますので、これは全ての保健所で、精神保健福祉相談員等が相談に対応できる体制を整えると同時に、精神科の専門医による定期的な訪問指導 等の機会をしっかり設けて、民間病院と連携して、2次医療圏単位での保険医療体制の充実を今図っているところであります。その上に、これから少しどういう形でまた作 っていくというのは、課題であるというふうに思っておりますけれども。加えて、心の病気と身体の病気を併発した方への医療体制を充実するために、昨年11月から、一般 救急病院と精神科病院との垣根をなくして、速やかに治療を受けられるようにするための体制を構築してまいりましたので、こうした体制をうまく進めまして、治療から日常 生活までを総合的に支援することで、安心して暮らしていけるように努めてまいりたいと考えているところであります。
(質問要旨)
洪水対策に関し、次の諸点について知事の所見を伺いたい。
(1)府全域に特別警報が発令された昨年9月、瀬田川洗堰の全閉操作の中で天瀬ダムが洪水時の最高水位に達するほど水位が上昇し、洪水調節機能が パンク寸前の状態になっていたことが新たな不安となっている。2年続いた大雨被害を機に、流域地域では、大戸川ダムの必要性や堤防腹部からの浸透被害 の危険性が指摘されており、新たな技術的検討が必要と考える。台風18号災害の概要が国から発表されるが、今回の事象を踏まえた淀川水系の状況につ いて、特に宇治川の安全についての本府の認識はどうか。また、今後の対応についてどのように考えているのか。
(2)瀬田川洗堰の操作を府県で見直そうとの意見が、広域連合などにあると聞くが、瀬田川洗堰の操作の問題は単に琵琶湖と宇治川の水位調整の問題だけ でなく、淀川水系全体で捉える必要がある。特に琵琶湖の後期放流に大きな影響がある木津川系にダムを持つ奈良県や三重県が参加していない状況下で 構成府県だけで十分な検討ができるのか懸念を感じるがどうか。
(3)淀川水系全体の洪水調整は過去の水害の歴史的な経過を踏まえ、木津川、桂川、そして琵琶湖を上流部に持つ宇治川それぞれの河川の位置づけや 役割を総合的に判断した上で、国による河川管理が成立しているからこそ、現在の安全が確保されていると考える。広域連合の構成府県だけでは淀川水系 の安全を検討することには限界があり、検討内容も中途半端になることが予想されていることから広域連合での瀬田川洗堰の操作を含めダム操作に関しての 検討は慎重に扱うべきで現在の広域連合の構成府県だけで行うべきではないと考えるがどうか。
(答弁骨子)
宇治川の安全についてでありますが、今回の台風18号においても、天ヶ瀬ダムの洪水調節とともに、瀬田川洗堰の全閉操作によって京都を守る上で大変大 きな役割があったと思っております。しかしながら、今回はぎりぎりだった面があり、堤防の計画高水位を超えた箇所もあるなど、危険な状況は続いていると思い ます。引き続き、宇治川の治水安全度の向上が必要であるところは一致している。瀬田川洗堰の全閉操作の問題は、平成19年8月に大戸川ダムのような、 洪水調節機能施設をつくれば、洗堰の全閉操作は原則行わないという基本方針が突然、国土交通省から示された。何の量的な数値的裏づけが無いまま 洗堰の全閉操作を止めます、滋賀県の希望に沿って止めますとの意見に私どもは大半、反発しました。洗堰というものの大きな効果は、それだけでは片付け られるものではない。そして、そのためにはしっかりと検討すべきとし、平成20年の四府県合意により、瀬田川洗堰の全閉操作をする現在のルールを変更しな いことを前提に、塔の島の河川改修、宇治川の下流や三川合流部の堤防強化や河道改修、そして、天ヶ瀬ダムの再開発の完成を最優先とするという意見 を出した訳であります。そしてこれによって今も全閉操作は守られている訳であります。従って、こうした中流域の安全確保の対策を全体として考えることが一番 大切でありまして、個別の堰の問題やダムの問題についての議論をするよりも、宇治川流域の治水安全度を向上させることを、みんなで集まり余談無く議論で きる場として「関係地方公共団体からなる検討の場」が設けられ、この検討の場において、意見を申しているところであります。また、三重県とか奈良県の話で ありますが、今申し上げました四府県知事の中には三重県も含まれておりまして、そのときには、川上ダムについて整備をしていくべきだと合意をしたところであり ますけれども、それがまた国の方針変更となりまして、今、「検討の場」にかけられているところであり、行きつ戻りつがあるところが大変私ども流域の安心安全に とっても懸念しているところであります。その中におきまして、実は国の管理がってお話があったところでありますけれど、この問題が起きた原因は、河川管理の宇 治川を中心とした河川整備計画をつくるにあたり、国の審議会である淀川流域委員と事務局が真っ向から対立しまして、審議会の案と違う事務局案を整 備計画として出してきた、本来であれば自分が委員を選任した審議会案を踏まえて計画を立てるのが常識だが、これが機能しなくなったために、これは京都府 として仕方なく自分の技術検討委員会を市町村とともにつくり、この技術検討委員会を元に意見を申し述べる異常な事態となりました。これは河川整備が安全 から街づくり、環境問題等幅広い分野にわたっており、国の河川管理だけでは解決できない状況が生じたからであり、今の「検討の場」の国、地方団体のみんな が入って検討することは適切と思っております。ですから、関西広域連合におきましても、この状況を踏まえた中で関西広域連合でも検討を進めたいと思っており ますけれども、市町村、国、そしていろいろな関係の皆様の意見を総合的にしっかりと議論することが、治水については、今私たちに求められていることと感じている ところであります。